デンタル・コミュニケーション:116

歯科医師・山田忠生

患者の質問

患者が質問をするのには様々な理由がある。患者のデータを収集しているときに、患者が質問をしてくる場合は情報を求めてのことではない。その理由が、いつも明確なものであるとは限らないのである。

質問:「結婚されていますか。子どもさんは。」というような質問には、あなたならどう返事するか。

  A.単に知りたいと思って聞いていると思われる場合には。

  B.専門家としてのあなたとの関係を、うまくやっていこうとして意識的に聞いていると思われる場合には。

回答:

  A.単純に率直に、そして誠実に「はい」、もしくは「いいえ」と答えるのが適切である。思うに歯科の専門家であるあなたに対して、理想的な人間であるよりは、現実的な人として知りたいと考えているのである。あなたの予想通りであれば、知ってしまえば話題は他に移るであろう。

  B.「なぜ、お知りになりたいのですか。」と、あまり強い語調ではなく尋ねるのが、どのような場合でも安全な方法である。この場合には患者は専門家との関係を越えて、一層親密で打ち解けた、社交的な関係にしようと考えていると予測できる。「はい」と答えようものなら、もっと個人的な質問「奥様は、お幸せですか」とか、「あなたと結婚されて、どう感じておられますか」などの質問が続くのである。これでは全く専門家との関係ではない話に進んでしまうことになる。このような問題が生じないようにしなくてはいけない。最終的には個人的な関係に陥ってしまうようなことになる。このような立場をとれば、あなたの評価はなれなれしく、ずうずうしい、そして人の気を引こうとするような歯科医師であるということになってしまう。

 

 

 

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