バークリー予防歯科の概要:234

歯科医師・山田忠生

 

援助は成果が最大のところよりも、その必要性が最大なところへと進む、というドラッガーの言葉はほとんどの学校での貧困者プログラムや、初回からしょちを行うことのような誤った歯科プログラムに完全に当てはまる。限られた資金は保護者へよりも、子どもの口の中に費やされ、結果的に2~3年後には努力が払われたという形跡をほとんど残すこともないのである。そして、子どもたちも本当の意味での自立的な健康に近づくこともなく、むしろ実際には以前にもまして人に頼りがちになってしまうこともある。子どもたちは教訓として、修正歯科治療が無駄であることを見抜いてしまうだろう。貧困者が切実に必要としているものは、歯が生活の中で果たす役割を見る目と、健康になってその状態を維持する能力の2つである。私たちは一心不乱となって、盲目的に彼らに歯科医学的な援助を与えてきた経験から、次のことがわかったのである。

 

 

 

デンタル・コミュニケーション:134

歯科医師・山田忠生

 

質問:患者がウ蝕による痛みで来院した。あなたは歯を診査してレントゲン写真をとり、窩洞形成、印象採得、そしてテンポラリーを装着した。治療は完了し、3日後に来院してもらうつもりでいる。治療が終わってからの手順を述べよ。

回答:《最後の話》

   今日の治療は終わりました。仮のつめものをつめております。問題はないと思いますが、何kあありましたら、お電話をください。3~4日後にご来院いただき、そのときに仮のつめものをはずして、最終的なインレーをつけることになります。

   《生活上の注意》

   この仮のものでいつもと同じように食事はしてください。ブラッシングはいつものように実行してください。ただし、フロスや楊枝は、その箇所だけひかえてください。何か質問はありますか。

   《患者との別れ(患者からの質問に答えた後)》

   それでは、受付で次のお約束をなさってください。

 

 

 

バークリー予防歯科の概要:233

歯科医師・山田忠生

 

成功のためには受け入れ側、スポンサーの役目の人、それに携わる歯科医師とが受け入れ側の必要に見合うプログラムにあった目標と、目的とを展開していかねばならない。プログラムが成功するかどうかは、これに関わる人すべての親密な協力体制がもたらされるような考え方があるかどうかにかかっているのである。しかし、それにも関わらずアメリカの主だった貧困者プログラムのただの一つでさえ、専門のスタッフである歯科医師と受け入れ側とが合意できるような歯科の理念をもってはいないのである。ほとんどの計画では永続的な目的が示されていない。どれをとっても受け入れ側が主体的に健康になることに力を貸していないことは確かである。そこには患者が何を欲しているかを学ぼうとする、誠意ある努力がうかがえない。

さらに、人は自分の将来を真剣に思いやるように促されない限り、ほとんどは自分たちが現在、何を最も必要としているかに気づかないのである。結果として貧困者のための治療は、援助のレベルに留まっているといえる。

 

 

デンタル・コミュニケーション:133

歯科医師・山田忠生

 

生活上の指示はあなた独特の指示から成り立ち、患者に歯科治療上の責任を積極的に分担させるようなものでなくてはならない。管理、使用、清掃、そして歯科治療に由来する不快感に対する指導も、生活上の指示に含まれている。その患者との別れは、他の患者のいないときが望ましい。患者は去るにあたって、もう1分間を必要としているかもしれない。というのは、ようやくにして歯科治療から解放された患者にとって、その間に話したくても話せなかったことを思い浮かべる時間が必要なのである。他方、あなたは次の患者のことが気になってきている。これは、いろいろな方法で解決することができる。治療後に患者が話せるように、1~2分間を予定しておくことである。時間に追われるようなスケジュールを立ててはいかない。その患者に十分に注意を払うべきである。あなたが集中して注意を払いながら使う1分間は、気が散った状態で使う5分間に勝るものである。

治療室のドアのところまっで、あなたの管理下にあるということが大切である。あなたがドアを開け、受付まで案内する。受付秘書は必要な会計処理をして、次回の来院予定を立てる。

 

 

ブラキシズム:12

歯科医師・山田忠生

 

日中のブラキシズムと、夜間のブラキシズムはどのように違うのか。

日中と夜間のブラキシズムとして、覚醒時と睡眠中のブラキシズムという2つの用語が使われているが、私は後者を好む、というのも日中に眠ることがある人は、そのときにブラキシズムをすることがあるからである。覚醒時と睡眠中のブラキシズムの違いは、人は覚醒中のブラキシズムは自覚することができるという事実がある。注意力と意志とによって患者は意識的に筋肉をリラックスさせることができる。睡眠中では事態はもう少し複雑になる。前述したように、夜間には他の要因が原因となって治療もまた、異なってくることがある。

 

 

パンキー歯科診業哲理:284

歯科医師・山田忠生

 

重要なことはその問題というものが、緊急を要するものであるかどうかをすばやく判断することである。「我慢をしておられるのですか。」という質問が適切である。というのは、このように聴くことにより共感していることを現し、患者があなたの心配りを認識し、そしてどの程度の緊急状態かをも決定できる。我慢している患者は早急に診るべきであろう。

しかしながら、一般的には新しい患者は歯科については何らかの恐れを抱いているものである。それは費用や時間のこともあり、そして痛みや不快感についてのこともある。口腔衛生に無関心で放置していたことについて、きまり悪く思っていたり、自己防衛的になっていることもあれば、いろいろな理由で緊張していることもある。そのためにこそ患者が来院してきたときに実行するべき大切なことは、患者を楽にさせてくつろがせるということだ。ほんのしばらくの間、患者の立場になって感じてみよう。

 

 

パンキー歯科診業哲理:283

歯科医師・山田忠生

 

新しい患者とのコミュニケーションは、あなたがその人と出会うずっと以前から始まっている。あなたを評価し、教育を受けた熱心な伝道者である患者から、その患者が紹介されて来院してくるのであれば、――ほとんどの新しい患者はそうなのだが――すでにその患者はあなたに対して何らかの積極的な気持ちをもっていると思われる。このような積極的な感情は電話を通して、あなたの秘書によってさらに強められるのである。Dr.パンキーに従えば最初の電話をとる人間は、それが受付秘書であれスタッフの中でも特に明るく、人当たりのよい人であるべきだ。というのも彼女こそが患者の出会う最初の人なのだから。笑顔で電話に応対したり、共感的できびきびとした印象を与えることによって、新しい患者はずっと気分よくなるはずである。

マークス「完全歯科医業学」367

歯科医師・山田忠生

 

3回来院診査方法を誠実に取り入れようとした歯科医師は、しばしば好ましくない、あるいは分別の無い患者の反応に直面することがある。これは予測されることである。患者を取り扱うのに、普遍的な成功法といったものはあり得ない、というのも私たち人間そのものを、その人の不安、弱み、そして自己妄想すら扱っているのである。その状況は、さらに歯科医師自身の不確定な要因で複雑化される。

患者が立証されるテクニックに思いがけない反応をすることがある。それは歯科医師の能力不足のためであり、賢明な歯科医師は患者もテクニックも咎めない。咎めるのは自らであると考える――つまり、十分に患者を観察していなかったのかもしれない、危険要因を明らかにしていなかった、あるいは提示した教育について患者が理解し、受け入れているのかどうかを十分に確かめていなかったからであると考えるのである。

 

 

ザ・デンタルフィロソフィ:160

歯科医師・山田忠生

 

患者調査によれば、以下の通りである。95%の患者は、自分に個人的な関心を示してくれる歯科医師やスタッフに好感をもつ。98%の患者は、時間をとって治療内容を説明する歯科医師やスタッフを、そして97%の患者は、自分の口腔健康管理の方法を指導してもらえることを好む。30%の人は、質問をする機会がなかったことに不満を抱いていた。

1日の最後には、私は快慶秘書と時間をとり事務室の仕事について、あるいは特別な問題点について話し合うようにしている。

 

 

70歳からの歯科治療:17

歯科医師・山田忠生

 

■原則:部分義歯は3点接触で安定

左図のような両側性部分義歯、右図のような片側性部分義歯であっても、3点接触で義歯の安定を図ることが重要。その点で右図のようなデザインでは部分義歯の機能が発揮できない。