パンキー歯科診業哲理:270

歯科医師・山田忠生

 

経営の教科書によれば、生産と経営とはまるで異なった仕事なのである。歯科医師は生産者である。確かにオフィスには経営、計画立案、組織化、調整などを展開する必要はあるが、それは歯科医師以外の人でも行えるはずである。Dr.ドーソンは”時間管理者”としてのスタッフを一人もつことを薦めている。このスタッフの仕事は治療室が効率的に使用されるようにアポイントメントを調節すること、ラボワークを正確に進行させること、そして種々な仕事をスケジュール通りに展開させることなどがある。材料はあらかじめ計量されており、器具も整備されて、レントゲンも準備できている。”この種の組織化は突如としてできるものではない。誰かがそうしてこそ、そのようになるのだ。”と、Dr.ドーソンは語っている。

 

 

デンタル・コミュニケーション:118

歯科医師・山田忠生

 

質問:患者がガンであることを、あなたは知っている。「私はガンですか。」と尋ねられたとき、どう答えるべきか。

回答:”ガン”という言葉は、それだけで精神的に大きな負担をかける言葉である。単なる辞書的な意味とはかけ離れた言葉である。そのために容易には質問には答えることができない。患者が、”ガン”という言葉で考えていることと、歯科医師が考えていることとは全く異なっている。質問に答えるためには5分から10分をかけて、患者が思い浮かべていたことや、本当に何を知りたいのかを話し合ってから答える必要がある。以下のようにしてから、話し合いを始めるのが適当である。

 ●あなたが”ガン”という言葉で、何を考えておられるのかを話しあってみることができると思います。それでは、あなたのお考えや、ご質問についてお聞きしていきましょう。

 

この場合、「なぜ、お尋ねになるのですか。」と聞くのも良いかもしれない。しかし、このような質問は多少とも抑圧的な響きをもっているので、神経質な患者の場合には、あなたの意図に反して感情を害してしまうこともある。

 

 

高齢者と歯科:4

歯科医師・山田忠生

 

私たちはウ蝕病原菌や、歯周病菌と闘ってはおりましたが、それにも関わらず歯は確実に失ってきておりました。それが、細菌感染とは関係のない「咬合病」だったのです。決して、新しく流行してきた病気ではありません。ただ、よくわかっていなかったということでしょう。すでに成書では歯周病の中の項目で、外傷性咬合という表現で記載されていますが、これは細菌性の病気ではありませんので、歯周病の中で論じるのには無理があります。

 

バークリー予防歯科の概要:218

歯科医師・山田忠生

 

1961年2月、著者は歯内療法の一層優れたホウホウはないものかと、シカゴで開催されたミーティングに出席した。著名な歯内療法学の臨床講義を受け、そこで彼が次のようなことを述べるのを聞いたのである。「あなた方は、前歯や真っすぐな小臼歯だけを治しているとのことですが、一体あなたの免許状のどこに、臼歯の歯内療法を施すには不適格だと書かれているのでしょう。ご存じのように臼歯の方が歯根の多いこと以外に、臼歯と前歯との相違点はないのです。あなた方がしっかりとした測定可能な機械器具を使いさえすれば、85%の成功率で1回の診療時間に充填することができるのです。」彼は、根管治療をするのは1回で良いと決して薦めているわけではない。

そのミーティングに刺激されて、著者は歯内療法のコースを受講することに決めた。雑誌などから5日間のポストグラデュエート・コースを選んだ。受講料の200ドルの小切手を準備しているとき、以前に歯内療法学のコースを受けていたことを思い出したのだった。1年前のことだ。しかし、すっかり記憶から追い払われていたのだった。200ドルの受講料は機械器具類を買いそろえるのに使え、受講のために失う5日間の診療時間は、患者の臼歯を18歯も治療することに充てることができる。

 

 

マークス「完全歯科医業学」:353

歯科医師・山田忠生

 

実際にリコールで患者が迅速に再来院するような準備は、すでに3回来院方法から始まっているのである。現代歯科医学の物語では、”早期の、そして定期的な歯科管理”という表現を用いており、破壊的進行についての話し合いでは歯科的疾患を連毒的で動的なものとして提示しており、治療計画を示すときにはリコールの必要性はそれぞれの状態に関連して説明されるのである。

前章で治療の最後に、”この段階に関連する将来の危険性について確認”するべきであるということがわかった。その上で、歯科医師は最終の治療来院時にリコールの日にちと目的を設定するべきである。この最終来院で提示する様式を指摘する前に、いくつかの毛って栄するべき要因がある。

 

 

シュースター「卓越歯科医業学」:219

歯科医師・山田忠生

 

予約調整用紙

これは生産と、患者の流れをコントロールする上で最も大切なことであり、適切な形で活用しなければならない。予防のためのアポイントメントから、ン地上の治療へ移る患者には、2週間以上前もって予定に入れておかなくてもよい。2週間以内にその患者の予約ができれば、そのまま予定を続けば問題はなく、そうでなければ調整表に載せておく。

 

 

70歳からの歳からの歯科治療:3

歯科医師・山田忠生

 

■歯の喪失タイプの7分類

私が開業当初の頃には、患者さんにこのように話していました。「歯を失う原因には、3つがあります。その一つはう蝕、ムシ歯です。そして二つ目は歯周病、歯槽膿漏とも言います。最後の三つ目は事故です。これだけは避けることができませんね。でも、ムシ歯と歯周病は細菌が原因で起こる病気ですから、予防することが可能なのです…。」

そして、お口のケア、つまりプラック・コントロールの重要さ英を熱心に話していました。おそらく、歯科医師が予防という言葉を積極的に使用するようになったのが、このころではないかと思います。特に、1970年に来日されたブラックバーン先生の「予防的ホームケア」の講演に大きな感銘を受けた記憶があります。

 

 

ザ・デンタルフィロソフィ:151

歯科医師・山田忠生

 

スタッフの葛藤の解決

スタッフはせまい部屋の中で働いているので、衝突もありそれは避けがたいことである。気持ちが落ち着いた後で、当事者はそばに行って、「そのことについて話し合いませんか。どうすれば問題は解決できるでしょうか。」と話すことを薦める。

非常に役立つ方法として、「私は」という方法がある。

私は感じている…うれしく、腹立たしく、など。

あなたがしている時…長電話や、そのほかの具体的なこと。

なぜなら、…それで私たちは遅れてしまう。

 

パンキー歯科診業哲理:269

歯科医師・山田忠生

 

あなたがオフィスを動かしているのか――それとも、オフィスがあなたを動かしているのか

 

故ジョン・アンダーソンによれば、歯科医業のストレスの主要原因の一つは、”business(ビジネス)”ではなく、”busyness(多忙)”なのである。Dr.ピーター・ドーソンは講演「卓越性の探求」の中で、次のように報告している。ある時間管理コンサルタントが歯科医師を調査したところ、1日に8時間30分以上働いているにも関わらず、実際にその歯科医師が生産的な時間として働いてるのは3時間より少なかったということがわかった。他の歯科医師では9時間30分の内の2時間がその時間であった。このコンサルタントによれば、労働時間が長くなるにつれて生産性は低くなる傾向にあるということである。歯科医師の生産性は、患者を対象として仕事をしていく時間と直接関連性をもっている。しばしば、歯科医師は大切な時間を日々の雑務に費やしている。