バークリー予防歯科の概要:217

歯科医師・山田忠生

 

歯科医学はどのようにして、今のような誤った道に入り込んでしまったのだろうか。歯科医師は革新的でありたがる不道徳で、無情な人間なのだろうか。あるいは、彼らは単に受けてきた教育や、研修の犠牲者に過ぎないのだろうか。その答えは、後者に深いかかわりがあるようである。合衆国内の大学の、ほとんどの卒業生は研修期間中に受けた歯内療法学はわずかでしかなかったと感じており、彼らが大学で抜いた治療可能な歯の数は、根管処置を施した歯と比べると圧倒的に多いのである。加えて、彼らが学んだ歯内療法学の方法は、非常に期待を裏切るものであり、時間の浪費でもあったため、ぎっしりと詰まったアポイントメント・ブックに組み入れることに非常に苦心しているのである。

著者は卒業後、臼歯の歯内療法にはアレルギーであったので、7年間は前歯か、ときどきは丈夫でなっ直ぐな小臼歯のみに歯内療法を行った。抜歯と歯内療法の割合は10対1以上で、学生時代のそれと類似していた。大学では、歯周組織はかなり良好な状態にあっても、膿瘍のできた歯は抜いてしまうように徹底的に教え込まれていたのであった。

 

 

マークス「完全歯科医業学」:351

歯科医師・山田忠生

 

効果を上げるために、歯科疾患を最適にコントロールするよう設定されたプログラムに含まれるのは、適切な時期に実施する定期的な再診査があり、そしてリコールに応答することの重要性が患者に印象付けられるが、それだけでは十分ではない。歯科疾患に対して警告するものとして、自然のシステムは有効ではない。「私の歯は痛くなったことはありません。ですから、問題もありません。」と患者は悦に入って話す。当初の患者教育の中で、そして治療中にも歯は痛みを感じることなくカリエスに罹患している可能性のあること、歯周疾患は不快感もなく進行し得ることについて、患者に話してはいるが、数か月後にもその印象が鮮明であることは期待できない。

 

 

パンキー歯科診業哲理:268

歯科医師・山田忠生

 

この章の目的は、あなたがすべての患者との間に長期的な人間関係を確立できるようにすることであり、そのようにしていく中で、患者が生涯を通してすべての歯を維持していくよう援助できるようにすることである。そして、あなたのオフィスのための、さらには歯科医学のための伝道者をつくることである。ビジネス用語でいえば、私たちが展開しようとしていることはマーケティングである。

Dr.パンキーは、マーケティングをこのように定義づけている。つまり、患者の必要性と欲望を明らかにして理解するとともに、私たちの提供するサービスについてはっきりとコミュニケートし、患者がそのサービスを望み、手に入れようとすることである。私たちが望むことは、信頼に基づいた人間関係を構築することである。最初に、私たちは自分の配慮、技量、判断を販売し、マーケティングする。そして、最後に患者が私たちを信頼するのである。

 

 

シュースター「卓越歯科医業学」:217

歯科医師・山田忠生

 

時間調整・・・優先予約

仕事の効率を増すためには、何をしたいのか、そして何をしたくないのかを明白にさせることが大切である。それを書き出して、スタッフと分け合うことも効果的だろう。

 

新患者の再診

時間調整は新患者の流れを調節し、治療や技工の状態を監督するために使う。左側に書かれた日付を除けば、あとは自分でわかっていることなので説明はいらない。左側には患者に連絡した日を示し、右側には受付が診査のために患者に再び来院してもらう日を記入するように分かれている。診査の日が遅れそうな場合は、受付は右側の日付を変更する。調整表そのものはどれも”コントロールされている”という本質的な特徴をもっている。

 

 

デンタル・コミュニケーション:116

歯科医師・山田忠生

患者の質問

患者が質問をするのには様々な理由がある。患者のデータを収集しているときに、患者が質問をしてくる場合は情報を求めてのことではない。その理由が、いつも明確なものであるとは限らないのである。

質問:「結婚されていますか。子どもさんは。」というような質問には、あなたならどう返事するか。

  A.単に知りたいと思って聞いていると思われる場合には。

  B.専門家としてのあなたとの関係を、うまくやっていこうとして意識的に聞いていると思われる場合には。

回答:

  A.単純に率直に、そして誠実に「はい」、もしくは「いいえ」と答えるのが適切である。思うに歯科の専門家であるあなたに対して、理想的な人間であるよりは、現実的な人として知りたいと考えているのである。あなたの予想通りであれば、知ってしまえば話題は他に移るであろう。

  B.「なぜ、お知りになりたいのですか。」と、あまり強い語調ではなく尋ねるのが、どのような場合でも安全な方法である。この場合には患者は専門家との関係を越えて、一層親密で打ち解けた、社交的な関係にしようと考えていると予測できる。「はい」と答えようものなら、もっと個人的な質問「奥様は、お幸せですか」とか、「あなたと結婚されて、どう感じておられますか」などの質問が続くのである。これでは全く専門家との関係ではない話に進んでしまうことになる。このような問題が生じないようにしなくてはいけない。最終的には個人的な関係に陥ってしまうようなことになる。このような立場をとれば、あなたの評価はなれなれしく、ずうずうしい、そして人の気を引こうとするような歯科医師であるということになってしまう。

 

 

 

タタミの上を、ゲタを履いて歩く:26

歯科医師・山田忠生

 

ほとんどの歯医者は、総義歯経験者ではないだろう。確かに、歯医者だからといって「ムシ歯」にならない、あるいは「歯周病」予防の秘策や特効薬をもっているわけではない。また、歯科医師の寿命も延びているようなので、総義歯の歯医者もいるだろう。

実体験しないと本当のことはわからないかもしれないが、だからといってすべての歯科治療を経験しなければ治療ができないというわけではない。そのようなことにでもなれば、医者もあらゆる病気を経験しなければならないわけで、命がいくらあっても足らないことになる。

 

70歳からの歯科治療ー1

歯科医師・山田忠生

70歳からの歯科治療

ブリッジ・部分義歯・インプラント

~賢い選択~

■初めに

いつの間にか、私は歯医者になって50年以上が過ぎ、当地・宝塚/仁川で個人診療所を開業して40年以上が経過しました。まさか、この年齢になるまで臨床医を続けているとは、本当に予想もしていなかったことであります。

大学時代の勉強不足が大いに影響して、その後に苦労したことを覚えていますが、その反面で大学時代の臨床とかけ離れた講義は、不必要までとは言えないにしても、ただただ知識を覚えるということで、それをしなかったことは返ってよかったのではないかと考えたりもしています。

さて、人生が80年から90年が珍しくない時代が到来しました。歯科医学にとっても、このような高齢者を対象とする歯科医学とその臨床は、いまだ経験したことのない未知の分野であります。私たち臨床医も手探りで治療を行っているといって過言ではないでしょう。それでも、これまでの経験をもとにして、未来に対応することも大切なことであります。

 

 

 

『口福寄席』&”歯福の講演会”2021:開催

歯科医師・山田忠生

2006年の第1回目を開催しました宝塚仁川/さらら仁川北館ホールで10年ぶりの開催です。今年、桂文三は芸歴30周年を迎え、ますます磨きのかかった噺で、皆さまを笑いの世界にいざなうことと思います。

私の講演会では、「70歳からに歯科治療」というテーマで、”ブリッジ、部分義歯、インプラントの賢い選択”という皆さまに関心のある”歯を失くした始末の極意”をこれまでの臨床経験と、最新の知見も含めて目からウロコの内容を紹介し、そしてわかりやすい特製の資料も提供します。ぜひ、ご参加を!!

エクセレンスの追求:38

歯科医師・山田忠生

 

次いで、何をするにしても、今のこの時間を過ごす最も良い方法は何かと常に考えます。ここにリストがあり、そのするべきことというのは、そのリストには10の項目があったとしましょう。Aという優先順序の項目が2つ、残りの8つはB、あるいはCであったとします。Aの2つをその日のうちに完了すると、内容的に仕事量を換算すると全体の80%を完了しているということになります。これが80対20の法則と称しているものです。実際の場合を考えてみると、皆さまの歯科診療所に対しての不満、不平の声のうちの80%は、全体の患者の20%の人からであるということに、気づかれるのではないでしょうか。

今を生きるということが、大変に重要であります。今以外の時間というのは、あるいは与えられないかもしれないということを念頭に置いて、今の時点で判断されるかもしれないといことを、毎日考えるべきであります。オフィスにいる間は家庭で何が起こっているのかというようなことを思い煩うのではなく、そして家にいるときはオフィスで何が起こっているのかを心配することはないように、ということであります。