ザ・デンタルフィロソフィ:150

歯科医師・山田忠生

”あなたは愛情をもたずにチームワークを獲得することはできない。尊敬tと好意との適度に混ざったものが、本当に実りのある歯科のチームには必要なのである。”

O.A.BudHam

 

歯科のチームにおいて、自己管理を進めていく最も大切な要因は、おそらく歯科医師やスタッフの情緒的成熟である。情緒的に健康な人間の特徴は以下の通りである。

●人生を楽しみ、そして他者の権利を尊重する。

●自主的に働くことができ、個人的な目標を明確にすることができる。

●”過ちをする権利”を、良いことであると信じている。

●融通性があり、予想外の変化も受け入れ、事態が悪くなっても慌てることはない。

●日常の決まりきった仕事においても、新しい計画や考え、あるいは新しい手法を積極的に適用する。

●誠実であり、約束を守る。

●”I’m OK and you’re OK”を信じている。

●自発的に自分の分担以上のことを行う。

 

 

マークス「完全歯科医業学」:348

歯科医師・山田忠生

 

4・次回が最終となるときには、口腔内を再診査して、口腔内にカリエスがなく、歯周疾患も管理下にあることを説明する。

5・最終来院のときには、家庭管理指導を再確認して、リコールの日にちと目的を設定する。

 

他者への教育はあらゆる機会を利用して、患者に歯科治療から得られた恩恵、一般的に知識が欠如していること、新しく得た知識を他の人々に伝えることは義務であるということを、患者が思い出すように提示する。”他の人の場合”について話し合うことは、「先生がそのような治療をされているとは知りませんでした。」と応答させることで、”その週の話”は価値のある宣伝媒体となる。

 

 

咬合病の診断と管理:5

歯科医師・山田忠生

臨床への適用

患者がしばしば診療所を訪れてくる理由には、できるだけ早く修正したいと望んでいる歯の審美上のことであることや、できる限り面倒な事態は最小限にしたいということである。ときには患者が希望することを提供するのを急ぐあまり、非審美的な状態の裏に隠された病因を、包括的に診断することを歯科医師は見落としていることもある。

診断段階を見落とし、患者を教育しないことは図4で見られるように、経済的に高額になることになる。この患者には、歯に”ノッチ(V字状欠損)”と歯肉の退縮があることが報告された。7年前に唇側面に人工歯がはりつけられていた。報告によれば、患者は問題の原因についての説明は受けておらず、咬合スプリントや咬合調整を受けていなかった。治療を受けて2~3年後には一層の歯肉の退縮をきたし、着色を伴った”ノッチ”が形成されるようになった。

デンタル・コミュニケーション:113

歯科医師・山田忠生

 

示唆的な質問

応対者 「お困りのことについて話されましたが、息づかいが少し早かったようですが、くつろいでおられたでしょうか、それとも緊張されていたのですか。」

患者  「少しばかり緊張しておりました。」

 

質問:応対者の質問は、どこが間違っているか。

回答:応対者は、質問と同時に返事も与えている。このような間違いをしないためには、以下のような質問をするべきである。「あなたがお困りのことを話されるときは、どのような気持ちでしたか。」そして、後になってから「くつろいでおられましたか。」と聞くべきである。

 

 

 

バークリー予防歯科の概要:215

歯科医師・山田忠生

 

この調査結果は歯科医学にとって恥ずべきものである一方、患者にとっては悲惨なものである。このような人々が生涯直面していかざるを得ない問題は、ある場合にはほとんど耐え難いものでさえある。無歯顎の患者が義歯を固定しようと購入している義歯粘着剤は、年間にして数百万ドルにも上がっている。この義歯粘着剤のコマーシャルは1年中、あらゆるメディアに乗って流され、夜のテレビを見ると人の指にくっついたエンピツや、目の前に提供された食事を歯がないために食べられず、ベビー用の椅子に座らされている大人のスポットがでてくる。義歯を装着している人々が直面している困難は非常にきびしく、彼らは藁をもつかむ心境なのである。ただし、歯科医師が彼らにじっくりと考えさせて、抜歯をしたくないと思わせていたのなら、何百万人という人々が歯をすべて抜いてしまうという決断は避けられたに違いないのである。さらに、歯科医師が歯内療法学的、および歯周病学的に治療が可能な歯を抜くことを拒んでいたならば、無歯顎という致命的な状態になった人は、ごく少数になったであろう。

 

 

シュースター「卓越歯科医業学」:214

歯科医師・山田忠生

 

誰も待つのは嫌いである

誰でも、どのような理由であっても、誰かのリストに自分の名前が掲載されることは好まない。そこで、私は受付にはこのように話すように教育した。「シュースター先生はこの時期に幾人かの患者さんの治療を終えるようですので、数週間以内にあなたの診査のために出会うことになります。」日付欄の左側に、患者に電話をした日にちを記載して、日付斜線の右側には患者に再び電話をすると話した日程を書く。このリストはコントロールされ、監視しておかなければならない。患者は、それがコントロールされているからこそ待つのである。その管理がいい加減なものであれば、患者は待ってくれないだろう。これを監視していくには優秀な受付を必要とするが、この医業のタイプの価値を受付とコミュニケートする責任が歯科医師にある。それは、――あらゆる面からも異なっており、異なったアプローチをしなければならない。そうでなければ、あなたの患者は1か月から数週間に渡って予約されていき、診ていない患者が増え、スケジュールはすし詰め状態となる。どのような単独な理由であっても、これほどに医業が確立されまいままに破壊されることはない。

 

 

 

咬合病の診断と管理:4

歯科医師・山田忠生

 

毎日のように、咬合病を原因とする歯のダメージの治療を求めている患者は診療所を訪れるが、患者、そして歯科医師でさえもほとんど真の敵についてわかっていない。直接的であれ間接的であれ、修復物は破損され得るものであれ、それは咬合病の結果として、ときには病因についての認識がないままに、莫大なコストをかけて修理、再装着されねばならない。また、研究によれば急速に進行する局所的な歯周組織の破壊、動揺、早期の歯の喪失は、咬合病(咬合性外傷)に起因していることを明らかにしている。筋肉痛と顎関節機能障害(TMD)は、認識されないままに治療されていない咬合病の徴候と症状である。

歯科医師は毎日のように咬合病を治療しているが、通常、それ程に診断はしていない。そのため患者は咬合状態が自分の歯科的健康に脅威となるものとして、あるいは注目をするべき病気とは思っていない、――つまり摩耗の途中経過であるか、加齢によるものと思っているのである。咬合病はそれらの咬合状態をを称するもので、さらに状態は緊急度を増し、それが加齢や自然な摩耗ではなく、むしろ治療が必要なきびしい病気であるということを、患者が理解する手助けとなる。

 

 

パンキー歯科診業哲理:265

歯科医師・山田忠生

 

第5章 あなたの知識を適応しなさい

 

プロフェショナリズムとは優れた知識、配慮、そして判断の使用に伴う行為の特質であり、それは利己主義の考えに先立って、他者や社会に利益に方向づいたものである。

l.D.パンキー

 

患者が一般的な治療を受けようとするのか、――あるいは自分の歯科的健康への責任を持とうとするかは、専門家としての能力や高品質の治療を提供する技術にあるのではなく、そのような処置の必要性や重要性をコミュニケートする歯科医師の技術によっているのである。

ローレン・ミラー