マークス「完全歯科医業学」:348

歯科医師・山田忠生

 

18ー4 要約

患者教育は治療中も継続していかなくてはならない。

患者が、(完全に)治療中に落伍をする必然的な理由にはその地域からの転居、あるいは死亡しかないので、歯科医師は治療期間中のどのような中断についても徹底して調べなくてはならない。

落伍をしてしまう最も頻度の高い理由は、興味の喪失である。

1・各来院時の初めに予定されている治療、その目的、完全な計画との関連性について話し、治療中の危険性を説明、期待できる効果について指摘する。

2・各来院の最後に、実施された治療と、治療後の危険性について簡潔に見直し、家庭管理を指導し、次回来院の治療について説明する。

3・治療の各段階の完了ごとに、患者にそのことを知らせ、将来の危険性について再確認する。

 

 

 

デンタル・コミュニケーション:112

歯科医師・山田忠生

 

「なぜ」という質問には、「なぜなら」という返事になる。私たちはいつも、自分の行動を意識しながら行っているとは言えないのであるから、「なぜなら」という返事は、まず常識的なものでしかない。つまり、それは口実や言い訳であり、専門用語では”合理化”である。合理化については関心をもっている人もいるが、専門職業上のインタビューや、相互関係にはほとんど価値のないものである。

「なぜ」という質問に代わるものとしては、以下のように患者に話しかけることである。「はっきりとしないのですが…」、あるいは「状況がよく呑み込めないのですが、もう少しお話をしていただけますか」。このような問いかけは患者を刺激することなく、反感を抱かせることもない。つまり、患者への関心や支持の姿勢を表していることになる。合理化を引き起こすかもしれないが、直接的な「なぜ」という質問に比べて、患者は防御姿勢をとることは少ないはずである。

 

 

咬合病の診断と管理:3

歯科医師・山田忠生

 

咬合病

審美的な修復が、短期間しか保持できない大きな一つの理由は咬合病である。病気として明らかなことは感染、生来の弱さ、あるいは正常な生理的機能を減じるような環境ストレスなどの結果としての、異常な組織の状態であるということである。咬合病は、まったくこのようなことと合致している。何百万ドルもの金額が、毎年のように歯頚部の摩耗と知覚過敏の治療のために使われているが、ほとんど咬合病と認識されていない。過度な歯頚部の知覚過敏と、歯頚部の摩耗(楔状欠損)は咬合病からのダメージである。適切な考えをもつことなく、しばしば修復物で治療されている。

咬合性外傷(咬合病の一つ)は過度な知覚過敏と激痛の主要な原因である、という証拠が事実を指摘している。何百万というⅤ級の修復が、適切な診断か問題の原因ーつまり咬合病を治療するということではなく、毎年のように歯頚部の楔状欠損として処置をされている。臨床的な経験と証拠とが、この歯頚部の欠損と咬合性外傷との関係を示している。

 

 

シュースター「卓越歯科医業学」:213

歯科医師・山田忠生

 

2週間以上先まで新患者を登録してしまうことは、行わない方がよい。2回目の予約(コンサルテーションと相談のための時間)は、1回目予約から10日以内にしたいものである。あまり先までスケジュールを決めてしまうと、新患者を診なければならなくなった場合に、融通がきかなくなってしまう。この方法であれば1回目予約と2回目予約の間が、それほど長く空き過ぎるということはない。

 

新患者の再診療計画表は、ある週は新患者で手一杯だが、次の週は一人もいないということにはならないようにとの着想から作られている。仕事のバランスを保ち、あなたとスタッフが新患者治療に対して、新鮮な気持ちですぐに応じることができるような助けとなる。

 

 

バークリー予防歯科医業の概要:214

歯科医師・山田忠生

 

治療は歯科医師にとっては容易で患者にとっては経済的であり、どちらにとっても好結果を期待することができる。患者ではなく歯科医師が抜歯の必要な時期を決める必須歯内療法学は、現在私たちが直面している切実な問題に対処するための最も近道である。

アメリカ歯科医師会雑誌に掲載された1969年の歯科医学の収穫は、アメリカ人から抜歯された5,600万本もの歯であったという不名誉な調査結果が証しとなっている。およその見当では3.500万人のアメリカ人が、最低一つは義歯を装着している。しかし、歯科医療保険がさらに状況を悪化させているという、寒気がするような実態がその問題をさらに深刻にしている。この数字は不必要な抜歯が道徳的ではないと見なされるようにならない限り、急速に跳ね上がっていかないのである。

 

 

ザ・デンタルフィロソフィ:149「

歯科医師・山田忠生

 

●自己管理は、すべてのメンバーに不断の人間的成長を求める。しかも、その人々の成長にも寄与するのである。

●自己管理は、豊かな環境をもたらす。そこではハードに働くのではなく、よりスマートに働くことで目標を達成できるようになる。

●自己管理をこのなう代償として、1週間のうち半日は患者を診ない時間をとるという規律がある。計画の立案、学習、とれ^人ぐ、’私たちはうまくやっているか’についてのディスカッション、遅れている仕事の処理などに、その時間を充てるのである。

●メンバーが互いの成長に最大の投資となることを進んで行うときには、成功の確率は非常に高くなる。その投資とは、互いに相談相手となることである。この行為には信頼と率直さ、そして以下のことを行う意志が求められる。つまり、その意志とは”私はうまくやっていますか。あなたには何か私の助言がいりますか’という2つの質問を、あえて同時に行う危険性とそれに対する率直な返事をもらうという冒険を冒すことである。

●チームのための基本的な姿勢はムダなことは一つとして、していないという姿勢である。

 

 

 

デンタル・コミュニケーション:111

歯科医師・山田忠生

 

”なぜ”の質問

質問:「なぜ、その薬をお飲みになったのですか。」、「なぜ、義歯をはずしてしまったのですか。」、「なぜ、装置を入れなくなったのですか。」という質問は、どこが間違っているか。

回答:このような質問は、患者にその行為の理由を求めるものである。一般的には患者は無意識に行う場合が多く、しばしば常識では考えられないこともある。そのために患者は勝手な思い込みをして、その質問に反感を覚えてしまうこともある。つまり、あらさがしをしているのではないかと感じて、イライラすることや、ときには怒りを覚えたりもする。「なぜ」で始まる質問はむずかしい方法であり、あまり非難的な語調は避けるべきである。さらには質問をする側の泣き言から、「なぜ」という質問は生じており、それはやりきれない、言い訳がましい欲求不満からの発言といえる。「なぜ」と質問をするときには、一度よく考えて、このような感情に影響されていないかをチェックするべきである。

 

 

パンキー歯科診業哲理:264

歯科医師・山田忠生

 

本からの知識や、練習を積むことによって、些細なシグサも認識できるようになる。たとえば、頭は”いいえ”と左右に振りながら、”はい”と質問に答えることや、話し方、声の調子の緊張程度で視覚的、聴覚的、感覚的に気づくことがある。私たちは、しばしば自分の考えにとらわれてしまい、相手がどのように反応しているかに気づかないことがある。あなたの個人的な話題から離れることを学習し、もっと綿密に患者を観察するようになれば、あなたが想像していた以上に、”心を読み取ること”ができるようになる。

あなたは、どれ程うまく患者とコミュニケートしているだろうか。実施してきた結果をみると、よく理解できる。満足していないのであれば、コミュニケーション技能の改善を考慮すること。医療過誤訴訟の95%は、円滑なコミュニケーションにより避けることができる。あなたのコミュニケーション能力をどのように改善するかを決定するために、以下の質問をしてみること。自分のコミュニケーション技能に満足していないのであれば、あなたの希望する変更に合わせて、目標や目的を調整すること。(以下、質問表は略)

 

 

 

 

咬合病の診断と管理:2

歯科医師・山田忠生

 

治療をするべき問題の病因を診断することなく、どのような症例であっても始めるべきではない、というのはその原因が理解されると、問題の再発を最小限にするか、予防する方法、そして私たちの修復物の寿命を延ばす方法を、患者に一層容易に教育することができる。たとえば審美的な修復が急速に進行する多発性のウ蝕の結果であるのなら(図2,3)私たちはその問題について患者を教育し、食事内容の管理や修正、さらにショ糖の摂取についても相談をして、患者をフッ化物の塗布を含む養生法と、適切な口腔衛生下におく。病因が歯周病や咬合病であっても、同様の行動をとる。私たちが審美的な治療、あるいは口腔リハビリテーションを考慮するのであれば、このような系統だったアプローチを使用することを考慮するべきである。