タタミの上を、ゲタを履いて歩く:26

歯科医師・山田忠生

 

ほとんどの歯医者は、総義歯経験者ではないだろう。確かに、歯医者だからといって「ムシ歯」にならない、あるいは「歯周病」予防の秘策や特効薬をもっているわけではない。また、歯科医師の寿命も延びているようなので、総義歯の歯医者もいるだろう。

実体験しないと本当のことはわからないかもしれないが、だからといってすべての歯科治療を経験しなければ治療ができないというわけではない。そのようなことにでもなれば、医者もあらゆる病気を経験しなければならないわけで、命がいくらあっても足らないことになる。

 

70歳からの歯科治療ー1

歯科医師・山田忠生

70歳からの歯科治療

ブリッジ・部分義歯・インプラント

~賢い選択~

■初めに

いつの間にか、私は歯医者になって50年以上が過ぎ、当地・宝塚/仁川で個人診療所を開業して40年以上が経過しました。まさか、この年齢になるまで臨床医を続けているとは、本当に予想もしていなかったことであります。

大学時代の勉強不足が大いに影響して、その後に苦労したことを覚えていますが、その反面で大学時代の臨床とかけ離れた講義は、不必要までとは言えないにしても、ただただ知識を覚えるということで、それをしなかったことは返ってよかったのではないかと考えたりもしています。

さて、人生が80年から90年が珍しくない時代が到来しました。歯科医学にとっても、このような高齢者を対象とする歯科医学とその臨床は、いまだ経験したことのない未知の分野であります。私たち臨床医も手探りで治療を行っているといって過言ではないでしょう。それでも、これまでの経験をもとにして、未来に対応することも大切なことであります。

 

 

 

『口福寄席』&”歯福の講演会”2021:開催

歯科医師・山田忠生

2006年の第1回目を開催しました宝塚仁川/さらら仁川北館ホールで10年ぶりの開催です。今年、桂文三は芸歴30周年を迎え、ますます磨きのかかった噺で、皆さまを笑いの世界にいざなうことと思います。

私の講演会では、「70歳からに歯科治療」というテーマで、”ブリッジ、部分義歯、インプラントの賢い選択”という皆さまに関心のある”歯を失くした始末の極意”をこれまでの臨床経験と、最新の知見も含めて目からウロコの内容を紹介し、そしてわかりやすい特製の資料も提供します。ぜひ、ご参加を!!

エクセレンスの追求:38

歯科医師・山田忠生

 

次いで、何をするにしても、今のこの時間を過ごす最も良い方法は何かと常に考えます。ここにリストがあり、そのするべきことというのは、そのリストには10の項目があったとしましょう。Aという優先順序の項目が2つ、残りの8つはB、あるいはCであったとします。Aの2つをその日のうちに完了すると、内容的に仕事量を換算すると全体の80%を完了しているということになります。これが80対20の法則と称しているものです。実際の場合を考えてみると、皆さまの歯科診療所に対しての不満、不平の声のうちの80%は、全体の患者の20%の人からであるということに、気づかれるのではないでしょうか。

今を生きるということが、大変に重要であります。今以外の時間というのは、あるいは与えられないかもしれないということを念頭に置いて、今の時点で判断されるかもしれないといことを、毎日考えるべきであります。オフィスにいる間は家庭で何が起こっているのかというようなことを思い煩うのではなく、そして家にいるときはオフィスで何が起こっているのかを心配することはないように、ということであります。

 

 

デンタル・コミュニケーション:115

歯科医師・山田忠生

 

質問が示唆的なものであるかどうかを判断する方法としては、あなたが返事を予測できるものであるかどうかということである。

質問:次のどちらの質問が予測できるか。

  A.毎食後、お薬を飲んでおられますね。

  B.毎食後、お薬をお飲みになることができていますか。

回答:A

   Bは、患者が服用の指示を守らなかったことにも理解を示していることになる。患者は仕事中には薬を飲めなかったと言いたいかもしれない。

 

仕事中にケガをした患者にインタビューをしていると仮定してみよう。あなたは顎からの痛みが、頚部にまで及んでいるかどうかを知ろうとする。

質問:痛みが頚部にまで及んでいるという予測を、患者にさとられないような質問に変更せよ。

   ●痛みが首にまで起こったことがありますか。

回答 ●痛みは顎だけに起こりましたか。

   ●他のどこかにも痛みを感じられていますか。

 

 

 

 

 

咬合病の診断と管理:6

歯科医師・山田忠生

 

咬合病は、修復物の臨床的寿命が短くなる主要原因の一つである。図5の患者は、審美性を改善して、現在の歯のダメージを修復することを希望した。早期に治療局面へと進むのではなく適切な診断の重要性と、DFEDシステムを使った咬合の評価についての情報が提供された。歯科顔面評価を完了させるには、高い質をもった適切な記録をもつことが何よりも重要である。記録には一連のレントゲン写真、パノラマレントゲン写真、6点ポケット探査、半調節性咬合器に装着された模型、これにはフェイス・ボーを使用、そして”話すときの歯の見え方”を重視した写真を含む11枚のデジタル写真を含む。

 

 

 

マークス「完全歯科医業学」:350

歯科医師・山田忠生

 

19・リコール

患者が型通りのリコールの通知や、ハガキに応じようとしないときには、しばしば歯科医師は”責任からの免除”を要求することがある。通知が無くても歯科医師の許に行くことは、――確かに”1年に2回は歯科医師に診てもらいましょう”というテレビからの指令に駆り立てられた――患者の責任であると考えている歯科医師さえいる。

責任はさておいても、両者ともにきわめて近視眼的である、というのはリコールでの再来院が高いということは、管理の行き届いた、そして生産的な診療を意味するからである。しかし、それでも歯科医師は責任をもっている――そして、よく耳にする”しつこくリコールで再来院を強要することは商業主義的に見られる”という理由付け(しばしば、これはものぐさをごまかすためであるが)で弁解され得るものではない。

 

 

パンキー歯科診業哲理:267

歯科医師・山田忠生

 

この章では、”不作為”と”作為”による過失についても述べることになる。作為の過失とは、知っていながら不注意のために侵す誤りである。不作為の過失――偶然に起こったり、自覚していないために起こる段階でもある――しかも、犠牲の多いものとなり得る。たとえば、クラウンのマージンが完全であったとしても、その形態と歯周組織との関係を無視していれば、重大な不作為による過失を侵していることになる。さらには、患者にとって最適な歯科治療を患者とコミュニケートすることを怠ったとすれば、――いずれにしても、患者がそうしないと信じていたとしても――あなたは患者を裏切ったことになる。

新しい患者を獲得しようとしている歯科医師には、現在の患者に必要な歯科治療すべてを行っていないかもしれないという認識に欠けていることが多い。”オフィスから流出している”歯科治療の総量は、すべての歯科医師を豊かにして余りがあると、Dr.パンキーは好んで話している。このような作為と不作為の過失を取り除くには、心からの誓約が要求される。

 

 

バークリー予防歯科の概要:216

歯科医師・山田忠生

 

義歯粘着剤のみが、無歯顎の人々を安心させようとしているのではない。歯科医師は、絶えず歯を保持するためのあたらしく、巧妙な工夫をしているのである。移植、磁石、ピン、ブレードなどはそのような工夫である。これらが注目するべきものであるのは確かだが、しかし歯を保持するのに歯根に勝るものはない。それにも関わらず、歯科医師はその歯根を無差別に患者から取り出してしまうのである。

組織移植を試みている多くの歯科医師は、いずれの歯にも必須歯内療法を実施しないのにはまったく驚かされる。徐々にこのような歯科医師も臼歯部に歯内療法を行うようになるかもしれない。しかし、それでは完全ではない。さらに悪いことには、数十年にわたって成功をしてきている一般的に認められている技術を研究して応用していくべきときに、まるで革新的で遺体を発掘するような方法を試みている歯科医師が、あまりに多すぎることである。重症の患者に動機を与えるのは容易である。ただし、その場合の歯科医師の責務は適切な時期に、適切な処置を施すことである。歯内療法で処置された歯根は、やはり最高のインプラントであり歯槽骨を保持するのに役立つ。