歯科医師・山田忠生
あなたの個人的な話題から離れ、相手を重要視できるようになること.あなたが相手に何かを望んでいるときには、自分の求めていることに注意が注がれ、もっと大切なことを見失いがちである。患者に何が提供できるかということよりも、患者が何を与えてくれるのかということで患者を診ているとすれば、目先のことで得ることはあるかもしれないが、結局は大切な長期にわたって関わる患者を失うことになる。例を挙げてみよう。ある患者が根管治療のためにスミス先生の診療所を訪れた。「私としては、あなたに根管治療をしてあげたいのですが、ジョーンズ先生のところへ行かれることを薦めます。ジョーンズ先生はその分野の専門医ですので、あなたにとってはそうされるのが良いと思います。」と、スミス先生は患者に話した。患者はスミス先生のアドバイスを受け入れ、ジョーンズ先生の許へ行ったが、このことでスミス先生への信頼と尊敬の気持ちが生じた。他の治療のためにスミス先生の許へ行くとともに、多数の友人をスミス先生に紹介したのである。スミス先生は自分の当面の欲求よりも、患者の本当の関心事--なし得る最善の処置をするということ――を見つめることができ、普通の患者を忠実な伝道者とすることができたのである。