歯科医師・山田忠生
⑨必須歯内療法学で、新しい歯科医師を目指す
根管治療というものを患者は好まず、またそれだけ余裕のある人は少ないということが、多くの歯科医師の偽りのない気持ちであり、ほとんどがこの考えのもとに開業してきた。この姿勢は歯科大学での経験に由来するところが大きく、地域によって抜歯に対する治療の割合が10対1を下回ることもあるほどである。歯科医師によっては自分を歯内療法を行うには不適当だとする考えもあり、治療をして修復した大臼歯も歯内治療を行ったばかりに、弱くなるのではないかという考えを抱いているのである。抜歯の方が、より安全な選択肢のようである。臼歯を1歯、抜歯する度に長期治療の目標がどれほど妨げられるかを、歯科医師は思い知るべきである。抜き取った歯の数に反比例して、成功が予測しにくくなる。患者に可撤式の装置を薦めるならば、歯の喪失のために異常な圧をうけて、遠心にある支台歯が侵されていくであろう。抜歯に続くそのような問題が鬱積して、徐々に人の心に留まるようになるにつれて、歯内療法はあらゆる歯科医師にとってさらに魅力のあるものとなるはずである。