歯科医師・山田忠生
それぞれの根管治療に1回のアポイントメントをとり、臼歯8歯のすべての治療をし終えるときには、このシステムがうまくいくことがわかった。扱った臼歯には、さまざまなタイプがあった。フィステルのある歯、進行はしていなかったが骨吸収の起こっている歯もあった。また、排膿のために根管開放を行うため救急患者として来院したが、そのときには痛みが始まって終日という急性症状を呈する患者もみられた。抗生剤は来院したときに激しい痛みと腫脹を認められる患者のみに使用した。患者が味わった苦痛も、根管開放の繰り返しや、刺激の強い薬の添加によって起こる歯根からの苦痛ほどではなかった。処置後の痛みを訴えてくる患者もほとんどなければ、3年の経過後には著者はかつてのフィステルのあったところが治癒しているのを観察し、骨吸収されていた個所に新たに骨が添加してきているのを見て、その後に外科療法を行う必要もなく、約90%の成功を得たのであった。著者はその後、1回の診療で歯内療法を実施してしまうことを実行しており、成功率はさらに5%アップしている。