歯科医師・山田忠生
質問:ルイスさんより、「これまでに聞いたことはありません。」という返事があった。あなたはどうするか。
回答:「何かお知りになりたいことはありませんか。」と尋ねるのがよい。患者が知りたいと思っている情報から始めるのがベストである。患者の望んでいない情報や、理知的にも情緒的でも処理できない情報、あるいはどうしても聞き入れない情報などはその後でよい。通常、患者の関心事は命は助かるのかどうか、仕事に復帰することができるのか、痛みはあるのかといったことであり、手術が必要な場合は術後の傷跡の程度に関心をもつ。
患者が自分の病気について知るための手助けつぃては、「あなたはどう思われますか。」と尋ねることによって、患者自身が疑問に答えて、その回答を修正する必要がある。患者がどのような質問にも、あなたは患者の自己防衛を破壊するつもりのないことを自分に言い聞かせながら、できるだけ誠実に答えるのが最良である。忘れてならないのは、あなたがどれ程に知っているかを示すことではないということである。患者が最終的に何を知るようになったかが大切なことであり、その間のあなたの有能さなどは問題ではない。患者に何があっても援助していくことを、あなたは患者に知ってもらいたいはずである。