歯科医師・山田忠生
その他の落とし穴としては、性急に安心感を与えてしまうということがある。「わかりました、大丈夫です。」という言葉ほど、話し合いを終わらせてしまうものはない。性急に安心させてしまうことは、必ずと言ってよいほどのその本質についての話し合いを中止してしまうことになる。データを集めているときには、最もあってほしくないことである。さらにデータが必要であったとしても、安心させてしまえば不可能になってしまう。あなたの場合でも言葉の上だけで安心するように言われるよりも、その問題について話す機会のあつ方が、ずっと安心感をもつようになるはずである。
データの収集中に患者やインタビュアが防衛的な姿勢をとれば、そのインタビューの効果は薄れてしまう。ほとんどの場合、防衛的な姿勢というのは批判の産物であり当惑、深い、恥辱として経験するものである。あなたが批判を下すのではないということを、忘れないように。患者が自分の目的に達するように理解し、援助することがあなたの仕事なのである。その目的も、あなたが患者に押しつけたものではない。いろいろな目的のあることを患者に自覚させるのは、あなたの役割であるが、どの方向に向かって進んでいきたいかを選択するのは患者の役割なのである。