歯科医師・山田忠生
覚醒時のブラキシズムは、習慣や無知のためにしばしば無意識に行われる。多くの人びとは長年に渡って無意識に筋肉の緊張と、結果として経験する痛みとの間につながりをもつことなく、顎の筋肉を収縮させつづけることが可能である。この筋肉緊張過多は歯の接触とは関係なく、交感神経系システムの過剰活動につながりがある。身体にとって攻撃として認識されるような信号は、私たちの防衛システムを活性化し、身体の特定の筋肉を収縮させる効果がある。急性の状況にあって、あるいは副交感神経の休息システムによって即時に相殺されるときには、それは実際に非常に有益であり、不可欠でさえある。しかしながら、身体が慢性的に攻撃を知覚すれば、それの限界がくるまでその貯えを輩出させる。ストレスの多い環境、生活の出来事への増加する反応、慢性的な痛み、あるいは不健康なライフスタイルというのは、すべてが責任を伴う要因である。自律神経系のこの調節は遺伝的であり、かつ後天的なものであると考える。一方では、遺伝的であるが他方では人間が成長をしていく環境に応じて進化する。