11 貧困者のための歯科医療の考え方
貧困者歯科医療の目的と目標の徹底的な鋭い再評価が、今は何よりも必要とされている。その目的が貧困者に高度の治療を保つことであるならば、無限の財源と人材を準備することが賢明なことである。しかし、目標が貧困者が主体的に健康であろうとすることへの手助けであるならば、ほとんどの貧困者のための歯科プログラムの運営はその目的と反目するものとなる。現実の医療の中で歯科用の資金は見る間に枯渇して、修復が1~2年後に失敗に帰したときには不満は膨れ上がるのである。
長期にわたり成果が思わしくない場合には患者が悪いのか、あるいは彼は気の毒であるかのどちらかである。気の毒であるというのであれば、問題がある。なぜならば患者が貧困者である場合、意識せずにさらに次の修正治療を受け入れ、そして患者は主体性を失い、無責任になってしまうからである。官僚主義者(と歯科医師)は、ある失敗に対して以前うまくいかなかったのと同じ方法で、さらに強固に対処しているが、これはとんでもないことである。