歯科医師・山田忠生
家族を1単位として扱えば患者の歯科的健康に関する理念はさらに展開し、予防歯科医学の実践が日常生活にさらにうまく組み入れられる。それにもかかわらず、ほんのわずかの貧困者の子どものためのプログラムが家族全体を対象として準備を進めているに過ぎない。もちろん多くの場合、家族は完全ではないが、母親と子どもたちだけででもグループとして扱おうとする努力さえ、ほtんど見られないのである。どのような子どもたちとであれ、うまく協力していくならば歯科医師はその母親に親しく働きかけ、さらに母親自身の口の健康に気を配るよう援助しなければならない。貧困家族の子どもたちからは他の階層ほどの反応を期待することはあまりできないが、もちろん母親の身代わりとなるものがプログラムに出されれば話は別である。
歯科に従事するものは現在だけではなく、数年後においても家族が彼らに何を求めているかを知る必要がある。私たちは家族の内省を過去、現在、未来の歯科的健康と、家族の個々の人の生活上の意義も考慮するように導いていかなければならない。そのプログラムは家族の一人一人が自分自身の健康に対する責任感を育てることに努力を集中しなければならない。この責任感が定着するようになれば、家族は疾患コントロールの指導を要求し、長期的な疾患コントロールのためのプログラムを開始するようになるのである。しかし、この責任感をカウンセリングによって向上させない限り、予防教育の成果は少ないであろう。