歯科医師・山田忠生
20ー1 教育のための時間をもたない患者
患者は歯科医師との最初の出会いの冒頭で、このように話した。「ワタシは勤めていますので、ほとんど時間がとれません。お話にムダな時間を使うよりも、それを仕事に使ってください。先生を十分に信頼していますので、必要な治療をしていただき、その上でご請求ください。」
多くの歯科医師はこのようにしてその気にさせられ、何をすることになるのか。そして互いの責任についてもほとんど患者と話すことなく治療を進めていく。このような外見上からは協力的な冠jあが、可撤性の義歯の装着を拒絶したり、あるいは請求書を受け取ってから、歯科医師がその金額に値するような何をしたのかと知ろうとするときには、歯科医師は驚いてショックをうけることになる。
歯科医師はあまりにも当然のことと思っていたので、気づくのが遅すぎるのである。患者の述べることを表面的にのみ受け止めることで、まさに患者の態度に危険性が含まれていることに気づかないのである。