マークス「完全歯科医業学」:388

歯科医師・山田忠生

費用を提示した後で、材料についての質問が生じた場合には、歯科医師は全面的に失敗したと言えるだろう。何よりも歯科医師は費用を正当化しようとする防衛的な立場を強いられることを避けなければならない。材料そのものの話題に入り込んでしまうまでに、そこから引き揚げようと試みるが、あまり成功しないのである。
初回と、2回目の来院中の純然たる好奇心や、あるいは興味以外から起こってくる疑問には、このように対応する。
「とても良い質問だと思います。率直に言って、あなたのお口にはどのような修復が必要なのか、そのためにはどのような材料を使うのか、まだ私にはわからないのです。ご存じのようにいくつかのーーポーセレンや金、銀など――選択するものをもっております。そして、それぞれに優れた点があります。つまり審美性にすぐれたものもあれば、耐久性のよいものもあります。私がすることといえば、どの材料でそれぞれの歯に求められることを満足させられるかを、決定することなのです。

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