デンタル・コミュニケーション:129

歯科医師・山田忠生

 

患者に治療方法、治療内容、薬の服用方法を説明するときに共通した落とし穴として、あなたの理解程度と同様に患者も理解できたと考えてしまうことがある。同じように理解できていない原因は、説明が不適切であったのではなく、どのように受け止められ、理解されているかをチェックしなかったことにある。ときには、あなたの意図とまったく異なった受け取り方をしていることがある。どのように聞いて、そして理解したかをチェックすることが鉄則である。患者のとる態度から、あなたの意図と違って聞いていることに気づく場合もある。患者の理解と深く関係のあるものとして、あなたの使う言葉、特に専門用語を使うことで陥る落とし穴がある。患者は専門用語を頭ごなしの言葉と感じ、そして誤解が生じ、非常に困惑してしまうことになる。私たちにとっては専門用語は日常的であるだけに、患者が困惑しているのに気づくまで、それを使った自覚がないこともある。ときには、患者が困惑しているとはっきりわかることがある。つまり、患者からの質問がまったく意図を理解していない内容のものであったり、治療計画通りに進めていけなかったりする場合である。患者が治療計画についてこられないときには、扱いにくい患者だと思いがちになる。しかし、患者の誤解を明らかにしていく方が、もっと生産的なことなのである。専門用語の多用は誤解を招くことになる。

 

 

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