歯科医師・山田忠生
成功のためには受け入れ側、スポンサーの役目の人、それに携わる歯科医師とが受け入れ側の必要に見合うプログラムにあった目標と、目的とを展開していかねばならない。プログラムが成功するかどうかは、これに関わる人すべての親密な協力体制がもたらされるような考え方があるかどうかにかかっているのである。しかし、それにも関わらずアメリカの主だった貧困者プログラムのただの一つでさえ、専門のスタッフである歯科医師と受け入れ側とが合意できるような歯科の理念をもってはいないのである。ほとんどの計画では永続的な目的が示されていない。どれをとっても受け入れ側が主体的に健康になることに力を貸していないことは確かである。そこには患者が何を欲しているかを学ぼうとする、誠意ある努力がうかがえない。
さらに、人は自分の将来を真剣に思いやるように促されない限り、ほとんどは自分たちが現在、何を最も必要としているかに気づかないのである。結果として貧困者のための治療は、援助のレベルに留まっているといえる。