歯科医師山田忠生
ブラキシズムと舌の位置には関連性はあるか
それはとても良い質問である。自己管理アプローチの第一歩は、感覚運動の認識である。患者は顎の筋肉の過度な緊張に気づくことになり、舌はその一部なのである。私たちが論じている過度の緊張はストレスと関連しており、患者にもよるがこれらの力が長引くと、顎関節系に症状が現れる可能性がある。
顎の適正な静止位置は、筋肉の緊張が最小限であり――重力を打ち消すのに十分な中立的な位置である。したがって口唇は閉じられ、目に見える模倣はなく、筋肉はリラックスしている。歯の間にはわずかなスペースがある。舌は成人期においては異なった安静位をもつことができる、つまり口腔底に、あるいは中心部に、そして口蓋に軽く触れる位置にと、――舌はこわばることもあれば、そうでないこともある。患者に対して口蓋に積極的に舌を押しつけるように助言するのは間違っている、というのもそれは返って舌をまったくの筋肉組織として緊張するように導いてしまう努力をしなくてはならなくするからである。そこで、適切なアドバイスは舌が完全にリラックスして、柔らかくさせて、自然に動くようになれば口蓋にふれてもかまわないということである。