デンタル・コミュニケーション:145

歯科医師・山田忠生

 

質問:あなたが充填処置を行っているとき、患者が非常に防衛的な態度をとった。患者が話をできると仮定したとき、あなたなら次の中でどれを選んで話すか。

  A.さあ、楽にしてください。

  B.こわがるようなことは、何もありませんよ。

  C.緊張しておられるようですが、ご自分でも気づいておられますか。

  D.不快感をおもちのようですが、その通りでしょうか。

  E.不快感をおもちのようですが、何か私たちにできることはありますか。

  F.あなたが緊張されたり、身構えたり、あるいは恐ろしく感じられらりするのは、どのような理由のためだと思われますか。

回答:C、D、Eは、あなたが気づいたことを患者に伝え、患者の心の中で起こっていることを確認している。Cは、患者に感情についての自覚に焦点をあてている。Dは、同じことではあるが患者の感情と、あなたのそれへの理解とが同じものであるかどうかを確認することに焦点をしぼっている。Eは、事態を改善しようとはしているが、あなたが間違った理解をしているかもしれないということを無視している。

   AとBは、言葉のマジックの例である。そのように話すことで、そのようになる。言葉による癒しである。あなたが呪術医として振る舞うつもりであれば、これを使うべきである。実際には命令することや、話をした程度で他者を変えることはできない。

   Fは、心理学的素養をもった患者に対する理想的な対応である。この対応は問題の核心をついているものであり、患者が理解でき、自分との考えとそれに伴う感情をコントロールできるなら、緊張は緩和される。しかし、心理学的なトレーニングを受けていない患者に使ってはいけない。

 

 

 

 

 

 

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